【完結】打算まみれの恋


 そもそも自分と誰かが付き合うことを今ですら想像できない。ただ顔合わせの時は強く否定すれば叫ばれそうだったこと、あと解散出来なそうでずるずる承諾してしまった。

 あちらは致命的に変なところがあると言えど、社会人で世界と仕事をすることもあるデザイナーだ。名前を調べてみたら、今度新しく下着、靴のブランドなどの統括デザイナーとして選ばれたとネットニュースになっていた。

 そんな人と自分が釣り合うとは思えないし、仮に外見やスペックが釣り合っていたとしてもこれまで異性を憎み続け、今でも刺々しい気持ちで見ている自分が誰かと付き合い、相手を楽しくさせられるとは思えない。

 気が重くなりながら時計を見るともう日付が変わる頃になっていて、私はスマホを置いて眠りについたのだった。
< 63 / 118 >

この作品をシェア

pagetop