今は秘書の時間ではありません
やっと室長が空気を変えるべく口を挟んできた。
「私と橋本でリサーチをかけました。その上でもホテルは白紙にすべきと判断しました。そこで、検討案をいくつか提案します。」

「まず、温泉旅館にすることを提案しています。そこに付随して海外の観光客を集客できるような季節ごとのイベントを行うのはどうかと思う。日本の体験ができるを売りにするのはどうかと思う。幸い海外のコネクションもあり、話を少ししはじめているところだ。」

「それとは別に家族できてのんびりできるのを売りにするのもどうかと思っています。連泊を狙い子供にアクティビティをしてもらい、その間親はリラックスタイムを過ごしてもらうっていうのもありだと思う。旅行に連れて行くのも疲れるけど親の時間も持てる。」

「先日友永からファスティングのプランも提案された。ファスティング中にヨガや興味のあることを勉強できたは気が紛れるのではないか、と。」

社長や室長が説明し始める。

それぞれの社員達はうなずいたり考えたりしているようだ。

「なかなか面白そうですね。今までの固定概念に捉われない旅館ですね。何にせよ1泊で帰ることがないような旅館がいいですね。何せ交通の便があまり良くないので往復で時間がかかります。その辺りを加味しないと絶対失敗すると思います。」

「イベントもいいペースで変えないとリピーターが来ません。日本らしさを演出するのは海外の方にとっては魅力的ですね。ただ、着物を着るとかそういうのではダメだと思いますけど。ディープな日本にこだわったら面白いかもしれないですね。昭和な日本ですかね。」

社長は、
「こうしてみんなで旅館の方向に向かって明日までに考えてきてくれないか。テンポは重要だ。いつまで悩んでいても仕方ない。それに専務達も黙っていないだろうからスムーズに進行しなければならない。よろしく頼むな。」

それぞれが頷き、社長に頭を下げ部屋を出ていった。
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