今は秘書の時間ではありません
とうとう株主総会となってしまった。

室長が司会進行を務める。
こっちの見方かと思っていたのに司会進行しているなんて…中立の立場なの?

「社長の不信任動議、解任決議をしたい。」
と高らかに専務が声を上げた。

叔父と甥なのに…。

「社長は就任してから全く仕事をしておらず遊び呆けている。このままだと業績を転落させ株価の安定も図れない。世襲だからと会長の息子に世代交代したがこの数ヶ月を見る限りこのままでは社の存続さえ危ぶまれる。私はいち早く持ち直させるため解任を要求したい。」

株主たちからは拍手があがる。

「社長から意見をお願いします。」
と室長に促される。

「私が社長就任から早3ヶ月。皆さんの目にはふざけているように映っていたでしょう。私は良くも悪くも我が社というものがわからなかった。内部が見えてこなかった。でもそんな私をフォローしてくれる人は一部しかいなかった。もともと私はお飾りの社長でいて欲しかったのか会議の資料一つもずさんなものだった。それを秘書たちがなんとか作り替え、私に分かるようにしてくれる日々でした。また、私が知らないことをいいことに癒着が横行していた。皆さんにはこちらの資料を見ていただきたい。」

橋本さんが出てきて資料を配り始めた。
そこには横領の証拠が載っていた。
どうやったのか、メールまである。

「こちらを見てご判断いただきたい。我が社に有益な方を。そして私からは専務の解任動議をしたい。」

静まり返る会場。

「こ、こんなのはでまかせだ!こんな資料はどうとでもできる。」

専務は資料を破き始める。

「私は我が社の利益になるべく海外とのコネクションから新規事業に向けプランニングしています。我が社はまだ国内の一部にしか広げられておらず、今後海外も視野に入れて事業拡大していきたいと思っています。大手トランスファルやデントンなどを含め有名他社とやりとりをしています。また、進行しているリゾートホテル案は撤廃し旅館で再検討しております。皆さんも冷静な目でご判断ください。あの場所にホテルが立ったのち行かれるか、を。」

「黙るんだ、一樹。」

「専務。声を荒げないでください。判断するのは皆さんです。」 

「私が今までどれだけ我が社に貢献してきたか分かってるのか!!!」

「貢献という名の自己利益拡大ですね。専務派は皆さん今までもいただいてきているものがありますよね。我が社は他社に発注すればもっとコストカットが出来るのに高値、言い値で払っている。そのことをどう考えていますか?社員が知らないと思っていますか?」

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