今は秘書の時間ではありません

社長を見直しました!

心機一転、チームを組み直し旅館の計画を詰めていった。

あの時残った数人の社員はやはり優秀で先を見通すことができる人ばかりだった。  

あの時の社員5人と室長、橋本さんがこの計画をすすめることになった。

社長は海外との連携強化や別荘誘致にと動き回っている。
  
今日も定時を過ぎるが社長の仕事は終わる様子がない。

山積みの資料に目を通し眉間にシワを寄せている。

私はコーヒーを淹れ、チョコレートをのせ社長に持っていった。  

「社長、あんまり無理されると身体に良くないですよ。」

「友永さんがそんなこと言ってくれるの?信じらんないな。あんなに働けって言われてたのに…。」

それもそうだわ。
ついこの前までは仕事もせず遊び回っていたんだもの。
尻拭いさせられてた頃がずいぶん昔に思えるわ。
 
「友永さんはもうあがってもいいんだよ。俺はもう少しかかるから。」

「お手伝いできることはありますか?」

「今のところ大丈夫。この後スペインからのオンライン会議をしなきゃならないからまだおわらないんだよ。」 

そうだった…時差があるのでこれからスペインとの会議だったわ。

社長は最初こそあんなだったけど英語もスペイン語も堪能だった。 
MBA取っただけあり経営も戦略的。 

私の出る幕はなさそう。

「では失礼いたします。」

「はい。今日もありがとうございました。」

社長は最近仕事を上る時お礼を言ってくれる。
お疲れ様、ではなくありがとう、と。

その社長の優しさにホッとしてしまう。
< 54 / 108 >

この作品をシェア

pagetop