今は秘書の時間ではありません
私は退職に向け準備をしていた。

以前資料が見つからないと言われた為、フォルダの整理をした。
社長に一目でわかるようにした。

紙ベースの資料も自分なりにわかりやすく配置したつもり。

次の秘書は引き継ぐことは正直なにもない。
社長は全て自分でこなせる人だったからだ。
資料のありかさえわかれば全てやれてしまう。
もともと秘書なんて置かずに働いていたから慣れているのだろう。
私の存在意義は最初からなかったんだわ。

でも、新規事業について私の意見を取り入れてもらったりしてとても貴重な体験ができた。

旅館ができたら一個人として泊まりに行きたいと思う。

今週頑張ればおしまい。
来週からは就職活動に入らないと。
でももう秘書はいいかな…。
私のやってたことはあんまり意味がなかった。
秘書です、というプライドはもうない。

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