どうにもこうにも~出会い編~
 西島さんは少し間をおいて再び口を開いた。

「石原さんの文面があまりに他人行儀だったので笑ってしまいました」

 受話器から西島さんの笑いがこぼれてきた。

「そんな形式ばらなくていいのに」

「あ、あれ、そうですか?なんか、年上の方だから失礼ないようにと思って…」

「そんな気を遣わないでください」

「はい。西島さん、お仕事大変だと思いますけど、無理ない程度にがんばってください。土曜日、楽しみにしてます」

「ありがとう。私も楽しみにしています。おやすみなさい」

「おやすみなさい」

 通話終了のボタンを押してベッドに倒れ込んだ。

「はぁー緊張した!あ」

 私は忘れないうちに携帯電話のスケジュール帳の来週土曜日の欄に予定を入れた。

『西島さんと待ち合わせ M駅東口 19時』

 思わずにやける顔を手でごしごしとこすった。

< 39 / 104 >

この作品をシェア

pagetop