どうにもこうにも~出会い編~
 午後2時半を過ぎたところだったろうか。バイト先の先輩で院生の三宅先輩から着信が入った。私は図書館の中にある電話ボックスで電話をとった。

「はい石原です」

<あ、ケイちゃん、急で悪いんだけど今日バイト代われないかな?>

「はい?」

 突然の申し出に思わず素っ頓狂の声が出てしまった。

<ほんと申し訳ないんだけど、今日原付乗ってたら後ろから居眠り運転の車に追突されて、今病院なんだ。今日は店出られそうになくって。他のバイトに頼んだけどみんな都合悪いって。ケイちゃんしか頼める人いないんだよ。すまん頼む!>

 事情が事情の上、ここまで懇願されては断れない。私は渋々承諾した。

<ケイちゃんありがとう!今度奢る!>

「いいですよそんな。それより怪我は大丈夫なんですか?」

<打撲と擦り傷程度だけど、一応精密検査するって>

「そうですか。お大事に」

原付に乗っていて車に追突されたのに、その程度の怪我で済んだなんて、悪運が強いというかなんというか…。

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