追憶とノスタルジ
海底でいつも。
【海底でいつも。】



昼間に青く光る空を見上げると眩しいの。

夜の空は沢山の星が輝いて見惚れてしまう。


ふと、彼が私を覗き込む。

「あら、どうしたの今日は」

彼は眉を垂らして笑った。

「今、君が何を考えているのか考えているんだ」

「そうね、私はいつも空のことを考えているわ」

あ、だけど最近、あなたのことも…

…ねぇ、まだ喋ってるのよ…。

あなたが話しかけてきたんじゃない…。


今日はもう彼には会えなかった。



いつものように眩しい空。

だけど今日は大きな飛行機が影を作っている。


そんな日は、暗い暗い闇のように悲しい。

大好きな空は見えないわ。

彼にも会えないのよ。



飛行機が去った夜はいつもの様に、

優雅に星を眺めるの。

彼も見ているかしら、綺麗な光を。



今日は土砂降りの雨。

駄目よ、空が泣いてるの。

暗くて、ジメジメしているわ。

濁って、なにも見えないの。


「君に会いに来たのにこの雨じゃ会えないな」

彼の声ね!

「私はここよ、ここにいるわ!

昨日は会えなかったでしょう、だから…」


…また帰っちゃったのかしら。

でも、今日は声を聞けたから気持ちが晴れたの。

途中でいなくなったって、許してあげるわ。



私はいつも空を見てるわ。

あなたを待ってるの。

綺麗な空から私を探してくれる綺麗な彼を。



夜には空も晴れたみたいね。

また明日、眩しい光に包まれて彼が見えるのを楽しみにしているわ。


いつまでだって待ってるわ。

大丈夫よ、私はいつも空を見ているもの。
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