もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜




「そうなんだ。後ろ姿しか見たことないや王子の今カノ」
「元カノが可愛かったから普通で驚くよ」
「あーー、確かにあれは可愛い」



 ────花宮先輩の元カノ?


 私は思わず立ち止まる。そっか、そうだよね。花宮先輩、かっこいいもん。今まで彼女くらいいたよね。……可愛い彼女くらい。


 胸がずきずきと痛む。あぁ、聞くんじゃなかった。自分以外に、先輩に優しくされていた、好きと言われていた女子がいたことを今更実感して、モヤモヤしてしまう。


 そんな私の背中に、バシンと衝撃が走った。



「うっ! ……な、なに高野さん」
「気にすることないよ」
「別に気にしてないもん……」
「気にしてるでしょ。今花宮先輩が好きなのは小森さんなんだから、堂々としてな」
「……それは、そうなのかも、だけど」



 私はゆっくりと足を進めながら、ふとあることを思い立ち、隣を歩く高野さんを見上げる。




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