もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜
「そっかぁ、そんなことがあったんだ」
「…………」



 駅までの帰り道、もう夕日は沈んでいる。先輩はそんな中、とてもご機嫌だ。それもそのはず、あの後のキスは容赦がなかった。思い出しただけで恥ずかしくてしょうがない。


 拗ねた私を見て、可愛い可愛いと言う先輩は絶対にずれていると思う。


 そんな中、先輩に何故カフェで最初元気がなかったのかを聞かれ、素直に高野さんに言われた事を話すと、先輩は何かを考えるような表情をした。そして口を開く。



「奈湖はさ、今後高野さんとどうしたいの?仲良くなりたい?」
「……それは、ちょっと分からないです」
「けど、高野さんもそれだけ奈湖の行動が目についてたように、奈湖も高野さんの行動がやけに目についてた」
「そういえば、確かに」
「似てるのかもしれないね、二人は」
「…………」



 眉間に皺を寄せる私の頭に、先輩は手を乗せる。



「奈湖が、これからどうするかだよ」






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