もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜
「びっくりし過ぎて、あんまり覚えてないです……や、柔らかかったです」
「あはは、そっかぁ」
先輩は私の言葉に楽しそうに答えると、再び距離をグッと詰めてくる。
「さて、もう一回」
「え」
「今度はちゃんと覚えててね」
先輩は口を覆った私の手を、ぐぐっと引っ張る。いや、待って、うそ。
にっこりと笑った先輩は、ゆっくりと言い聞かせるように口を開いた。
「奈湖、恋人同士はキスをするんだよ。はじめてなんだから、ちゃんと覚えて」
「ひゃ、ひゃい……」
私の情けない声は、花宮先輩の唇に飲み込まれた。
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