もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜




「私、嫌いじゃないよ。高野さんのこと」
「……は?なんなのアンタ」
「奈湖、今はダメ」
「ちょっと下がってて。コイツは一回しばかないと」




 私が割って入ったことで、早紀と彩菜が私を隠すように前に立つ。けど、私はそんな二人を押し除け、松井さんの前に立った。




「どんな噂聞いたのかは分からないけど、みんながみんな、高野さんを嫌ってるわけじゃないよ。だから、わざと傷つける事言わないで」
「……だって噂を聞いたから。私から流したわけじゃないし。聞いたから言っただけ」
「頭髪や服装を注意された腹いせだからって、言っていいことと悪いことくらいわかるでしょ。高野さんも口調が強かったにしろ、あのやり方はダメ」
「はーーーー、うるさ。……っつーか、あんた花宮先輩の彼女じゃん」




 松井さんはわざとらしく鼻で笑った。そして、頭から爪先まで品定めするように見つめられる。



「どこにでもいそうな女。アンタみたいな女のどこを好きになったのかな?横に並んでて恥ずかしくない?」
「っ」



 思わずカッとなった。けど、確かに私は可愛いわけでもないし、お洒落でもない。


 自分のことになると、なんて言い返せばいいのか分からず言葉を詰まらせる。
 

 松井さんが楽しげに口を開いたその時、後ろから、私の肩に手が乗った。




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