もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜




「小森さんは関係ないでしょ」
「た、高野さん」
「私のことはどれだけ言ってもいいけど、小森さんのこと否定するのはおかしい」



 高野さんが私の横に立つ。そして、私の前に手を出し、守るように一歩前に出た。


 高野さんに口論で勝てないと分かっていて、陰で動くことしかできない松井さんは、わかりやすく動揺している。


 しかし、そんな動揺した彼女に高野さんは、頭を下げた。


 ざわざわもしていた野次馬や、後ろで松井さんを睨みつけていた早紀と彩菜は目を丸くし、その場が静まり返る。



「────ごめんなさい。私の注意の仕方も強かった。一晩よく考えた」
「え、ちょっと、何してるのっ……」
「だから、今回は私も悪かったってことで、ローファーのことは許す」
「っ……」
「だからもう、私に構わないで」




 高野さんの謝罪に、松井さんは相当驚いたらしい。そんなことをされてしまったらこれ以上騒いでも滑稽なことに気付いたのか、ゆっくりと後ずさった。

 
 
「わ、分かったよっ!」



 松井さんは人だかりをかき分け、自分の教室に入って行った。


 私達はその背中を見送り、ホッと肩を撫で下ろす。すると、両脇から早紀と彩菜にもみくちゃにされる。




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