堂くん、言わないで。



「や、約束は放課後だけだよねっ?」


周りに誰もいないことを確認してから、空き教室に足を踏みいれる。

そこに待っていた堂くんにつめよってスマホの画面を突きつけた。



『図書室に来い』


その理由なんて聞かなくてもわかってたから、わたしは廊下を歩きながら


『図書室からいちばん近い空き教室まで来て!』

と送っていたのだ。


お昼休みの図書室は利用者が多い。

みんなに見られてわたしまで注目の的にされるのはいやだった。


ちゃんと来てくれたことに一瞬、感心はしたけれど、呼び出されたことには納得がいかない。



「昼、まだ食ってねーの?」

「や、食べ終わってたけどさ……」


「じゃあいーだろ。お前も友だちいねーし」

「いるもん!いるもん!」


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