堂くん、言わないで。
「また、泣かされてんのかと思った」
「え?あ……」
そういえば最初、堂くんと会ったときも泣いてたんだっけ、わたし。
あのときも泣かされてるというか、勝手に泣いただけなんだけどね。
……でも、そうか。
堂くんがこうして優しくしてくれるのは、わたしが不憫だからか。
そっかそっか、と納得する。
だけど同時に、ぎしりと胸が軋んだ。
その理由はわからないままわたしは曖昧にほほ笑む。
「堂くんは優しいのか優しくないのか、よくわかんないね。気まぐれだし、寒がりだし、なんだか猫みたい」
冬にこたつで丸まってる猫を想像する。
あまりにも堂くんにぴったりすぎて、すこし笑ってしまいそうになった。
大きな猫だと思えばドキドキせずに済むのかな。
ちらりと彼に目を向ける。
柏木くんも背が高かったけど、堂くんは彼よりも高いような気がする。
すらっとしたモデルのようなスタイルに、なにより抜群に整った顔立ち。