堂くん、言わないで。
堂恭花くん。
彼はいつも本を読むこともなく、日当たりのいい席で寝てばかりいた。
いつか誰かが零したことがある。
『あそこだけ宗教画みたい』
たしかに、とわたしも思った。
その容姿の美しさ、そして近寄りがたいオーラ。
堂くんの周りだけまるで雰囲気が違うし、誰もが遠巻きに眺める存在。
彼も彼で、意に介さずといったような感じ。
おそらく群れるのはあまり好きじゃないんだろう。
一匹狼とは彼みたいな人のことをいうんだ。