【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
「まさか。キャロルがお転婆なのは、だいぶ前から知っているよ」
「ご存じでいらっしゃったのですか!?」

 見透かされていたとは、青天の霹靂だ。
 驚愕するキャロルの髪を、レオンは愛おしげに撫でる。

「あれで隠しているつもりだったんだね、キャロル。かわいい」
「かわいい、ではダメです……!」

 すばらしい公爵令嬢の自負があったキャロルは、わなわなと震えた。

「シザーリオ公爵令嬢としてあるまじき失態ですわ。霊廟にねむるご先祖さまに顔向けできません。かくなるうえは、わたくし、自分を鍛える武者修行に行って参ります!」
「はいはい。修行は俺としようね」

 涙目で立ち上がったキャロルをつかまえたレオンは、自分の膝に座らせて髪に頬を寄せる。大型犬が甘えるような仕草に、うっかりキャロルはきゅんとした。

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