【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 祈るようにつぶやいた。けれど、時は止まってくれない。
 水平線から朝日が顔を出す。清らかな光がキャロルの体を照らし出す。

「この夜が明けてしまったら、わたくしは」

 レオンの花嫁に、なれなくなってしまう――。

 無情にも、朝日は海をはなれて空に昇っていった。
 夜は明けた。レオンとの十二夜は、失敗してしまった。

 絶望にひたるキャロルのそばに、薄汚れた衣服が投げ出される。

「なに暗い顔してんだい。船にはアンタも乗ってもらう。これに着替えな」

 泣こうが喚こうが、冷血なニナが手心を加えてくれるはすがなかった。キャロルは、パトリックを安心させるように前脚をきゅっと握る。

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