不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
「牡丹のご両親には、家のこととか会社のこととか一切関係なく、俺は相手が牡丹だから結婚したし、追いかけていたのは最初から俺のほうだったってきちんと伝えた」
「灯……」
「でもご両親は、自分たちはこれまで牡丹に酷いことをしてきたから、牡丹にも子供にも会う資格はないって言ってた。昨日、手術が終わったあとに母子ともに元気だって伝えたら、電話口でふたりとも『よかった』って言いながら泣いてたよ」
いつの間にか、お守りを握りしめて胸元に抱き寄せていた。
もう何年もすれ違っていたけれど、もう一度私達は親子としてやり直せるのかな?
ううん……きっと、大丈夫だ。だって、私と灯もすれ違っていたけれど、今はちゃんと向き合って、夫婦として歩み始めることができたから。
「……ふたりにも、あの子を抱っこしてほしいな」
「……ああ、牡丹がそう思うなら、それがいいと俺も思うよ」
「あの子もきっと、おじいちゃんとおばあちゃんたちが笑顔でいてくれるほうが喜ぶよね」
そして、私と灯がまだ小さな子供だったときのように、今度は我が子を囲んで家族みんなで笑い合いたい。
「なぁ、牡丹。それで、もうひとつ俺から提案があるんだけど」
「提案?」
「提案っていうか、相談かな。俺達の大切な愛娘の名前なんだけど──〝ももか〟って、どうかな?」
そばに置いてあったメモとペンを手に取った灯は、スラスラと綺麗な字で名前を書いた。
「百に花で、百花(ももか)……」
「そう。花のように、たくさんの人に愛される人になってほしいっていう願いと、いつか誰かの心に花を咲かせるような子になってほしいっていう願いを込めて」
頭の中で〝百花〟という名前を反すうしながら、先ほど会ってきたばかりの我が子の顔を思い浮かべた。
「……うん、すごくいいと思う。あの子にピッタリの素敵な名前だと思う」
百花。一度聞いたら、この名前しかないと思えるほどしっくりきて、たまらなく愛おしい気持ちになった。