不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 





「久しぶりに、ふたりでゆっくりしてきなさい。今日は私達が百花ちゃんの面倒を見るからね」


 長い管理入院生活を経て無事に出産を終えた私は、百花をNICUに残して一足先に退院した。

 それからは、しばらく家と病院を往復する日々が続き、私は毎日家で三時間おきに搾乳した母乳を百花のもとへと届け続けた。

 百花は最初こそ呼吸が安定せずに不安があったものの、一週間もすると保育器から出られて、酸素を補助するための管も外された。

 その後はミルクと母乳の飲みもよく、経過も順調で体重も増え、産まれてから一ヶ月半で無事に退院することができた。

 退院する頃には体重も三五○○グラムを超えていて、顔の血色も良くなっていた。

 それなりに覚悟はしていたものの、退院後は思った以上に睡眠時間が取れなくて大変だったけれど、灯が積極的に育児に関わってくれるおかげで百花の日々の成長を楽しむことができた。

 加えて言えば、灯のご両親もうちの両親も見事に百花にメロメロで、まさに初孫フィーバー真っ最中。

 そのおかげで両家の交流が復活し、この十数年で出来た溝が百花のおかげで少しずつ埋まってきていた。

 
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