不本意な初夜でしたが、愛され懐妊妻になりました~エリート御曹司と育み婚~
 


「ふふっ、そういうつもりのごめんねじゃないよ。今のは……これまで灯の気持ちに気づかなくてごめんねって意味」


 あと、灯の言葉を疑ってしまったことも。

 灯は妊娠がわかってからずっと真摯に向き合い、私とお腹の子を大事にしてくれていたのに、どうしても信じきることができなかった。


「でも、これからはちゃんと私も灯と向き合って、夫としてもこの子の父親としてもあなたのことを信じたいと思った」


 胸に込み上げた想いを正直に伝えると、灯は意外そうに目を見開いたあとでとても柔らかに微笑んだ。


「ああ、そうしてくれ。俺も、これからは今まで以上に牡丹達のこと、大切にする」


 言葉と同時に優しく抱き寄せられたら、ついさっきまで感じていた不安はどこかに消えてしまった。

 ドキン、ドキン、と早鐘を打つように鳴る鼓動は灯の心臓の音なのか、それとも自分のものなのか、ハッキリとはわからない。


「とりあえず、牡丹のご両親には俺から話してくる」

「え⁉ い、いいよ!」

「だけど、妊娠したことを俺の妻としての役目とか、跡継ぎがどうとか、これからもそういうふうに言われたら牡丹自身が傷つくだろ」

「それは……」


 確かに、その通りだけど。

 でも、今はどうしてももう一度両親と顔を合わせる気になれなくて、灯がそばにいたとしても実家の門をくぐる気にはなれなかった。

 
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