海の向こうで-番外編-
「ここが……」



私は大きな家の前で、ごくりと唾を飲んだ。



ちなみに私の名は朱里。そして私は、好きな人の家の前に立っている。なぜこうなっているかは、二時間ほど前に遡る。



私は彼の双子の妹である海華(うみか)と仲がいい。そして彼女から彼が休みだということを聞き、いてもたってもいられなくなってわざわざ彼女から鍵を借りてここまで来たというわけだ。


「あとは頼む」



隣でむっつりしている男が言った。この男の名は鮎斗。なぜ見舞いに行くだけなのにこの男までついてくるのか、……。


それは、まぁ私のせいでもあるんだけど。この男は私の護衛みたいなもんかな。ほんとは要らないかなって思ったけど、彼に迷惑をかけたくないから一応呼んでおいた。


「そんなに寄りたいのなら寄っていけばいーじゃん」


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