憂鬱な雨の日だから【完】
「その様子だとまた傘忘れた?」
湯川くんはニヤリとからかうような表情をして、私の顔を覗く。
「だって、今日雨降るなんて聞いてなかったよ」
「まあ、たしかに曇りだったけど。天気予報の人が夕方からにわか雨が降るかもって言ってたよ」
う……。
ちゃんとマークだけじゃなくて話も聞いておけばよかった。
「というか、学習ないのな。折りたたみ持ち歩くとかさ」
湯川くんって意外と毒舌。
仲が良くなると、本性を見せてくるタイプなのか。
でも、それだけ湯川くんと言い合える関係になったってことだよね。