今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

誰にも負けられない気持ち

「ねえ。あなた名前はなんて言ったかしら?」


兄と生徒玄関で別れた後、なんとなく愛華さんと1年の教室へ向かって廊下を歩いていた。


悲しいかな、隣のクラスだったみたいで行く方向が同じだったんだ。


転校してきたばかりみたいだし、放って行くわけにもいかないか。


すると、突然彼女が話しかけてきた。


腕を胸の前で組んでふんぞり返ったみたいなポージングで。


「え、えっと千桜ですけど」


「ふうん、だからチーって呼ばれてるわけね」


「はあ、まあ」


「なんだか猫みたい。変なの」


クスッと鼻で笑われた。


「そうですか、そんなことないと思うけど」


私をそう呼ぶのは兄だけ。


いつも、とびきり優しい声で呼んでくれる。


私は結構気に入ってるのに、そんな嫌味な言い方をされたのでムッとする。

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