今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
食欲はなかったけど、おかずを残さないように兄の分まで頑張ってたくさん食べた。


洗い物をお手伝いしてから、サッとお風呂に入り自分の部屋に戻った。


もうあれこれ考えたくないから今夜はすぐに寝ようと思った。


悪い方にばっかり思考が流されてしまう。


もしかしたら、兄はあのことで怒っているのかな。


だから帰ってきてくれないのかも。


怒り狂った感情を鎮めるように家の前でバットを振っていた兄。


昼間に家を出たときのことをちょっと後悔した。


このまま帰ってこなかったらどうしよう。


あっちの家族のほうがいいって思ったら……。


伊集院家は豪邸で使用人がたくさんいるようなお家らしい。


想像もうまくできないくらいすべてが豪華そう、うちとは大違い。


きっと何もかもが快適なんだろうな。


だったら、ずっとそこで暮らしたくなったりしないかな。


だって兄は子供の頃は伊集院家でお坊ちゃんとして過ごしてたんだから。


よく考えたら、こっちよりも絶対彼に相応しい場所のはず。
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