今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
とうとう私の思考はそんな底辺まで落ちてしまった。


うっ、こういうのって卑屈って言うんだった。


ハア……。駄目だ私、落ちすぎでしょ。


頭をブルブル横にふって、負の感情を必死に追い出した。


兄に限ってそんなこと思うはずがない。


そうだよだって、彼は誰よりも私達家族を大事に思ってくれているはず。


忙しい両親のために自ら率先してお手伝いをするし、小さい時から私の面倒も嫌がらずにみてくれた彼のことを。


信じてあげなきゃ。


この10年間を簡単に否定しちゃ駄目だ。


「そうだよね、ポンちゃんもそう思うでしょ?」


れいによってぬいぐるみのポンちゃんに話しかけていた。


ようやくギリギリのところで気持ちを立て直した。


そうだ、今から兄の部屋に行こう。


最近は変に意識してしまって恥ずかしくて行けなかったんだ。


今夜はこっそり彼のベッドで寝ちゃおう。


そのくらいいいよね……。
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