今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「うん、家族のカタチを壊しちゃいけないと思ってた。
でもたとえ壊れたとしても作り直せばいいんじゃないかな。
だって家族ってそういうものでしょ。
変化に合わせて距離感を整え直してみんなが納得するカタチに変わっていって」


これまでの家族のカタチは壊れるかもしれない。


けど、カタチを変えてまた作り直していけばいい。


お互いを大切に思う気持ちさえあれば、家族でありつづけられると思う。


私達は互いの幸福を願っているどこにでもいる普通の家族だから。


「お父さんもお母さんもいつかわかってくれる。わかってもらえるまで説得しよう」


これからは彼と思いを一つにして、力を合わせて未来を築きたい。


私たちなら大丈夫。
この10年間、あんなに仲良く暮らしてきたんだもん。
その時間は絶対に裏切らないはずだから。


「チー」


彼は高揚したように私を見つめ、はあっと息を吐いた。


「しばらく会わないあいだに強くなったね。
ごめんな。
俺がいっぱい苦しませてしまったからだよな」
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