今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
彼はこんな風に私のピンチの時には何を置いても一番に駆けつけてきてくれる。


これまでにも、体育の授業中に貧血で倒れたときに助けに来てくれたことがあった。


忘れ物をしたり勉強でちょっと困ってると様子を見に来たり。


その他ほんの些細なことでも私がピンチに陥っていると聞いたら即座に駆けつけてくれる。


しまいには何事もなくても1日1回は私の教室を覗きに来るほど。


昔から、とにかく過保護なお兄さんってことが知れ渡っている。


それにしてもシスコンは言い過ぎ……でもないか。


でも変な風に噂されたら困る。


兄は今年から生徒会の会長職に就いたことだしそういった軽々しい噂をされないように気をつけてあげたかった。


だから最近は、あんまり私のクラスには来ないでって言ってある。


中学の時に影で色々言われていたから、私自身も高校では静かに穏やかに過ごしたかった。


「んー、でも間違ってないから腹も立たないな」


彼はなぜか満足げににっこりと笑う。

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