今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
「そうなの?」


そういうの自分で自覚してるんだ。


「まあね」


そう言っておどけたような表情で肩をすくめる。


「ウフフ、そっかそんなふうに思われてたら確かにモテないかもね」


「そうだな」


翔くんは眩しそうに瞳を細めて私を見る。


「別にチー以外にはモテなくても構わないしな」


冗談ぽく言われたから、私も同じようなノリで返した。


「やだなー、兄妹でモテるもなにもないじゃん。お兄ちゃんなんだから大好きに決まってるよ」


「……」


その時、彼の表情が硬くなり笑顔が消えた。


「どうしたの?」


「いや、なんでもないよ。やっぱ兄貴だから好きってことか」


何を今さらそんなわかりきったことを言うんだろう。


「うんそうだよ、大好き」


ぴょこんと跳ねるように彼の腕に引っ付いた。


「ちょっ、学校ではそれ言うのやめろって。照れるだろ」
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