今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
なるべくなら彼には知られたくないから。


「でも、歌ちゃんからそう聞いてるよ。しょっちゅう男に言い寄られて困ってるみたいだって」


歌ちゃんは私の小学校からの親友で現在は同じクラス、兄とも面識がある。


もうー、歌ちゃんったら翔くんに聞かれたらなんでも答えちゃうんだから。


「ほんとだよ。ほんとに私モテないよ」


男の人からそういう対象として見られてるんだってあんまり兄には知られたくない。


「私まだ恋愛とかわからないし」


必死にそう言っていたら翔くんは困ったような顔をした。


「わかったわかった。だけど、何かややこしいことになる前に必ず俺に相談するんだよ」


「大丈夫、そんな心配いらないから」


誤魔化すようにぎこちなくニコッと笑った。


「俺には言えなくても歌ちゃんには必ず相談して」
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