【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。



 外が真っ暗になり十九時を回った頃、ホテルの大広間にはたくさんの人が会場入りをしている。
 このパーティーは軽い婚約発表だけど、私のお父さんが経営している五十嵐医薬品会社と哉斗くんのお父さんが経営するKURAHASHIフレグランスの会見だけあって新聞記者さん達の他にも政界の方々も大勢来ていた。

 私はチラッと扉から覗いてため息を吐いた。


『美央、大丈夫? 緊張してるでしょ』

 哉斗くんはそう問いかけて手をぎゅっと優しく包み込むように握ってくれる。彼の体温がとても温かくて癒される。
 いつも私が不安になるとそのたびに励まして手を繋いでくれるのだ。

 それが、私にとっては嬉しくて元気になって。頑張ろうって思うとことができる。


『大丈夫。哉斗くんがいるから』

『それならよかった。そうだ、海斗も会場入りしたみたいだから後で会いに行こうな』

『うん』


 頷くとそろそろ会場入りをしないといけないのかスタッフの人と一緒に両親達が二人でいた部屋に入ってきた。私が立ち上がり部屋のドアに近づいた時、哉斗くんは立ち止まって私を見る。


『美央、今日は離れないで。絶対に』

『うん、わかった。離れない』


 私はそう答えると哉斗くんはホッとしたように私の腰に腕を回すと、何かを呟いたけどその内容は聞こえなかった。



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