【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。



 大広間に入った時、皆バラバラに挨拶をしたり食事をしたりしていらしたのに今は私たちを見ていた。それもそのはず、私は今までパーティーに参加していなかったから珍しいんだろう。
 まず、ステージ上に私と哉斗くんが登壇するとまずお父さんがマイクを持って話だした。横にいるから何を言っているのかわからないが、お父さんに言われた通り堂々としていようと前を向く。

 だがこんなに注目されたことなくて心の中は心臓バクバクだったが、私と哉斗くんの紹介がされると哉斗くんのエスコートでステージから降りた。


「本日はお招きありがとうございます、いつも(せがれ)がお世話になっているようで……」


 最初に声をかけてきたのは海斗くんのお父さんで政治家の飯嶋英智(ひでとし)様だ。その隣には海斗くんもいる。
 私が耳が聞こえないことを知っているのかゆっくりと話してくれて理解ができた。筆談しようとすると海斗くんが『手話で話をして、俺が通訳する』と言ってくれて私は遠慮せず手話で話す。


『初めまして、私は五十嵐美央と言います。未熟者ですが、よろしくお願いします』


 緊張し過ぎて簡単な言葉になってしまったが「こちらこそこれからも海斗のことをよろしくお願いします」と言ってもらえたのでとても嬉しかった。



< 226 / 239 >

この作品をシェア

pagetop