【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。


「頭で考えるな、哉斗。今は探すんだよ! 外にいるとは限らないだろ!? 彼女が一番に助けて欲しいのは哉斗しかいないんだから!」


 海斗のその言葉に、俺は大広間を出て人気のない場所から探す。このホテルは最上階が十五階だ。一つ一つ見ても、時間がかかる。だから防犯カメラを見せてもらえる監視室へ海斗と向かった。

 監視室では警備員が数人いて、俺がパーティーの関係者だということを伝えると快く見せてくれた。するとそこにはトイレに向かう彼女がいて、トイレに入ったきり出て来ていない。その後もトイレ前の映像では、彼女は出て来ていなかった。


「トイレか……厄介だな、俺らじゃ女子トイレには入れねーし。沙知じゃこのホテルには入れないしな」

「沙知、近くにいるのか?」

「あぁ、パーティー終わったら親父と会う約束してて……沙知に、来てもらおう」


 海斗はそう言うと、スマホを取り出しすぐに電話をかける。すると「すぐに来るって、迎えに行ってくる」と言いこの部屋を出て行った。俺は急いでトイレに向かった。

 


< 229 / 239 >

この作品をシェア

pagetop