【完】王子様系男子の哉斗くんは、毎日会いに来る。



 すぐに部屋に戻ってきた哉斗くんの後ろにひとり男の子が入ってきた。

『俺の親友の飯嶋海斗。同じ学校で同級生』

 同級生? 哉斗くんと海斗くんって名前が似てる。雰囲気も似てるし、2人並ぶと芸能人みたい。

「はじめまして、『海斗です。よろしく』お願いします」

 名前だけ手話で言ってくれた彼は哉斗くんに何かを話をすると私を見て微笑んだ。

『私は、美央です。よろしくお願いします』

 私も海斗くんに名前を言えば哉斗くんは、私を見つめた。

『夜、美央ちゃんの誕生日パーティーあるでしょ? それに海斗も出席するから』

『でも、私出席しないですよ』

 今日のパーティーは私の誕生日パーティーだ。だけど私は毎年出ない。主役がいないパーティーだ。
 私は自分では挨拶出来ないし居たらお父様たちに恥をかかせてしまいそうだからっていうのもあるけど、人と話すのは怖いのが本当の気持ちだ。

『俺ら、参加するけど挨拶まわりをしてここに来るから。夜になる前に海斗に会わせたくて』

 きっと急に来たら私が驚くと思って哉斗くんは考えてくれたんだなぁ。本当に優しい。

『ありがとう、哉斗くん』

『いいよ。美央ちゃんの為ならね。知り合いが一人でもいた方がいいと思って』

『嬉しい。本当にありがとう』

 そう哉斗くんに言うと、スマホのメモアプリで【迷惑をかけてしまうけれどよろしくお願いします】とパパッと打つとそれを見せた。
 すると『こちらこそ』とゆっくり話してくれて、仲良くなれそうだなって思った。
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