あいにくですが、エリート御曹司の蜜愛はお受けいたしかねます。
思わず溜め息をつきそうになった時、森が「はぁっ」と盛大な溜め息をついた。
「ほんまにもう……静さんったらぁ相変わらずなんですからぁ」
よもや森ちゃんに溜め息をつかれるようになるとは……(世も末すぎる)
「なんもないわけないやないですかぁ」
へっ?
「明日は女の子の一大イベントなんですよぉぉぉ?」
一大イベント?
「そうですっ!決戦の金曜日なんですぅぅっ!」
森がそう言った途端、頭の中にとある曲が流れ始める。アップテンポの女性ボーカル曲。好きな人に告白する女の子の歌だよね?
「ってことは、森ちゃんは明日地下鉄に乗って告白しにいくの?」
「それもまったくの間違いではないですがぁ……でも残念ハズレ!」
おっと、またハズレた。なんなんだよ、森。地味に嫌がらせなの?
「明日はバレンタインですよ!」
「―――ああっ!」
ポンと手を打ったわたしに、森がまた大きな溜め息をつく。
「静さんはぁ明日はお休みしはるからぁ、今日中に渡しとこ思おて。いつもお世話になってますぅチョコですぅ」
「なるほど。ありがとう」
『いつもお世話になっています』かぁ。先輩に感謝チョコをくれるなんて可愛いところあるじゃない、森ちゃん。
「そっちは自分チョコ?」
森が手に残っている方の紙袋を見ながら訊ねると、森は「ちゃいますよぉ。のん用のはぁお家にありますぅ」と言う。
「これは……非常用ですぅ。いつなんどきぃどんな出会いが来るか分かりませんからねぇ?チャンスを逃さんよう持ち歩いとるんですぅ」
「そ、そうなんだ……」
バレンタインにかける情熱がすごすぎるよ、森ちゃん……。ある意味尊敬する。
「でもやっぱりこういうのはぁ、イベント当日が一番やないですかぁ?だから明日一日頑張りますぅ!」
その頑張りを少しは仕事に発揮しておくれ…森ちゃんよ……。
「静さんはぁ……」
「ん?」
森は続きを口にせず、ただわたしをじっと見つめた。黒めがちな丸い瞳に、なにか意味ありげな光が宿っている気がする。
「森ちゃん?」
「じゃあのんはぁこれでぇ~。お先ですぅ」
「うん、お疲れ。気を付けて帰るのよ」
「ふぁ~い」
「ほんまにもう……静さんったらぁ相変わらずなんですからぁ」
よもや森ちゃんに溜め息をつかれるようになるとは……(世も末すぎる)
「なんもないわけないやないですかぁ」
へっ?
「明日は女の子の一大イベントなんですよぉぉぉ?」
一大イベント?
「そうですっ!決戦の金曜日なんですぅぅっ!」
森がそう言った途端、頭の中にとある曲が流れ始める。アップテンポの女性ボーカル曲。好きな人に告白する女の子の歌だよね?
「ってことは、森ちゃんは明日地下鉄に乗って告白しにいくの?」
「それもまったくの間違いではないですがぁ……でも残念ハズレ!」
おっと、またハズレた。なんなんだよ、森。地味に嫌がらせなの?
「明日はバレンタインですよ!」
「―――ああっ!」
ポンと手を打ったわたしに、森がまた大きな溜め息をつく。
「静さんはぁ明日はお休みしはるからぁ、今日中に渡しとこ思おて。いつもお世話になってますぅチョコですぅ」
「なるほど。ありがとう」
『いつもお世話になっています』かぁ。先輩に感謝チョコをくれるなんて可愛いところあるじゃない、森ちゃん。
「そっちは自分チョコ?」
森が手に残っている方の紙袋を見ながら訊ねると、森は「ちゃいますよぉ。のん用のはぁお家にありますぅ」と言う。
「これは……非常用ですぅ。いつなんどきぃどんな出会いが来るか分かりませんからねぇ?チャンスを逃さんよう持ち歩いとるんですぅ」
「そ、そうなんだ……」
バレンタインにかける情熱がすごすぎるよ、森ちゃん……。ある意味尊敬する。
「でもやっぱりこういうのはぁ、イベント当日が一番やないですかぁ?だから明日一日頑張りますぅ!」
その頑張りを少しは仕事に発揮しておくれ…森ちゃんよ……。
「静さんはぁ……」
「ん?」
森は続きを口にせず、ただわたしをじっと見つめた。黒めがちな丸い瞳に、なにか意味ありげな光が宿っている気がする。
「森ちゃん?」
「じゃあのんはぁこれでぇ~。お先ですぅ」
「うん、お疲れ。気を付けて帰るのよ」
「ふぁ~い」