お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


「食べたら勉強しよう!教えてあげるから!」


わたしはテスト範囲のところはしっかり勉強して、全教科平均点以上をとっているからそれなりには教えられる。

だからそう言ったんだけど、碧は。


「お嬢に手取り足取り勉強を教えてもらうのはすごく嬉しいです、けど……残念ながら、このあと委員会の仕事がありまして」


まさかの、用事。


……わたし、手取り足取り教えるなんて言ってないんだけど?
まぁ、そこは突っ込まないでおこう。


そういえば、碧ってなんの委員会に入っているんだろうか。


「碧ってなに委員なの?」


運動神経抜群だから体育委員かと一瞬思ったけど……体育委員はやることが多そうでめんどくさい、とか碧は言いそうだし。
なんだろう、と思っていたら「図書委員です」と返した彼。


碧が、図書委員?
彼が最後に本を読んでいる姿を見たのは、確か5歳の時。それも、あの時呼んでいたのは絵本。
……もうずっと本を読んでいない、あの碧が?


「似合わないね」


思わず笑ってしまう。


< 133 / 431 >

この作品をシェア

pagetop