お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


「お嬢にはもっとほかのものが似合いますよ。あっちにあったワンピースとか……あ、持ってきてもいいですか?お嬢に着てみてほしいです」


男性をレディースの服屋さんに連れてくるのはいつも退屈しないかと不安だったんだけど、意外と真剣に見ていてくれたようだ。


わたしに似合うかも、と思ってくれたなんて嬉しすぎる。


「うん!」


大きく返事をすれば、早足でこの場を離れて。
すぐに持ってきてくれた。


グレーチェックの半袖のワンピース。
白い襟に、リボンまでついていて、すごく可愛らしい。


さっそく持ってきてくれたワンピースを着てみれば、サイズもいい感じで。
鏡に映った自分を見て、似合ってると自分でも思った。


サイズもデザインもいいものを選んで持ってくるなんて、碧はすごい。


「これ絶対買うね!」


カーテンを開けて、着用したワンピースを碧に見せた。


「こっちのほうがお嬢に似合います」


にこりと微笑んでくれる。


「ありがとう碧!すぐに脱いで買ってくる!」
「俺が買いますよ」


「えっ!?いいよ!?自分で買えるもん!」


お金だってちゃんと持ってきているし、今日は特別な日でもないのに買ってもらうのは申しわけなさすぎる。

< 168 / 431 >

この作品をシェア

pagetop