お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


買わせたくないってことだよね?
そういうことは、つまり似合わないってことで。
そんな遠まわしに言わなくてもいいのに。

まぁでも、碧は優しいから言えないんだろうな。


「似合わないなら素直に言っていいよ」


試着室のカーテンを閉めようとすれば、パシッとつかまれた手首。


「本当の本当に似合ってますよ。お嬢は銀河一可愛いですから」
「……本音は?」


「お嬢の肌を俺以外の男にあまり見せたくない、というのが本音です」


まっすぐにわたしの目を見る碧に、心臓がドキッとする。


「じゃ、じゃあ……これ買うのやめる。あとは。もう一着試着するね」
「次はなんです?」


「黒のワンピース」
「黒、ですか。確かに小悪魔みたいでいいと思いますが……お嬢に黒はあまり似合わないと思いますよ」


黒と言った瞬間、微妙な反応をされ、そんなことを言われた。


碧が言うなら、そうなんだろう。
じゃあ黒はやめようかな。

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