お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「お嬢、せっかくの綺麗なワンピースが汚れるのでこちらにどうぞ」
碧は先にベンチへと座ると、自分の膝を叩く。
まさか……。
そこに……膝に、座れってこと!?
なんなんだ碧は!
いつもはこんなことしないのに!
「ふ、普通に座れるってばっ!」
わたしは碧の隣に座って、ぱくりとアイスをひと口。
「たまにはお嬢を膝の上に乗せて、きゃっきゃうふふしたかったんですよ」
碧は口角を上げながらそんなことを言って、口へとアイスを運ぶ。
な、なに!?
きゃっきゃうふふって!?
「こっちのアイスも美味しいですよ」
ふた口目、アイスを口へと運ぼうとした時に。
彼のスプーンが近づいてきて、わたしの口の中へ。
チョコミントではなく、碧のバニラアイスが口の中へと広がった。
……そっちのアイスも美味しい。
けど、これって……間接キス!
碧ともう10年も一緒にいるから、間接キスなんてこれがはじめてってわけじゃないけどさ……。
急に、びっくりするじゃん。
しかもわたしがやりたかった、食べさせるのを普通にやったよ!?
碧はにこりと笑って余裕そうな顔。
絶対ドキドキしてない。