お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
***
教室でライン交換したあとは、健くんは帰宅せずわたしの話し相手になってくれた。
机をくっつけて、おしゃべり。
家でのこととか、クラスのこととか、もうすぐはじまるプールの授業のこととか、いろんな話をして1時間ほど経過したら。
「茉白」
──碧に呼ばれた。
なぜかまた、名前呼び。
びっくりして、嬉しくて、ガタッと席を立つわたし。
「碧……!お疲れさま!追試どうだった?」
そう聞けば、彼はなぜか無言。
少し不機嫌そうな顔をしながらすたすたと教室に入ってきて。
わたしの鞄を持つと、パシッと手をとり歩き出す。
「わっ」
強く手を引かれて、早歩き。
……碧、またどうしたんだろ。
なにかあった……?
「ま、待って碧!健くんも一緒に……」
碧を引きとめようとするけれど、彼はとまってくれず。
「茉白ちゃん、碧くん、ばいばーい」
うしろを振り向けば健くんは手を振ってくれて、その姿を一瞬見て教室を出た。