お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
そして2人で生物室を出れば、きょろきょろとまわりを見渡す彼。
「茉白ちゃん、放課後まで学校に残ってなんか用事でもあったの?そういえば碧くんは?」
「碧は追試だから、終わるの待ってたところなの」
そう言った後に思ったのは……。
健くんも追試を受けなくていいのか、ということ。
健くんはテスト期間まったく学校に来ていなかったから、追試を受けなくちゃいけないんじゃ……?
まさか、追試もサボったの……?
「健くんは、大丈夫なの……?」
ちらりと隣にいる健くん見て聞いてみる。
「俺ねー、めんどくさくて追試もぜんぶサボっちゃったから、さっきまで担任に呼び出されて説教されてたんだよ」
あはは、と笑う彼だが……ぜんぜん、笑いごとじゃない。
「ちゃんと追試受けないとだめだよ。留年しちゃうよ」
「大丈夫だって~。たった1回テストサボるくらいじゃ留年しないから」
「健くんだったら2回目のテストもサボりそう」
2回目のテストは、6月下旬から7月上旬にかけての期末テスト。
なにげに次のテストまであまり時間がない。
「茉白ちゃんがそんなに心配なら~次のテストは頑張ろうかな~」
ふざけたように言ってくるから、「心配だから頑張ろう」と返す。
すると。
「じゃあ頑張ろっと」
本当かはわからないがそう返ってきた。
……健くんのことだからテストの日付けとかわからなそう。
ライン交換したら、メッセージでもたくさん送ろうかな。