お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「は?待って……。茉白、おまえ俺のこと男として見てないんじゃねぇの?おまえには、好きな男がいて……。俺と、ちがう気持ちなんじゃ……?
俺がおまえのこと好きだって知ったから、今日の朝から気まずそうにしてたんじゃねぇのかよ?」
わたしよりも先に口を開く彼。
好きな男?
碧は、わたしの気持ちに気づいたんじゃ……?
「わたしが好きなのは碧だよ……?」
答えると、彼は黙り込んで……。
──数秒後、わたしの手を強く握った。
「おまえ……俺と組長の話聞いてたんじゃねぇのかよ」
「き、聞いてたよ……。碧、わたしのこと家族として、幼なじみとして好きなんでしょ……。わたしとは、ちがう気持ちなんでしょ……」
もう一度声に出せば、溢れ出していく涙。
碧の前で絶対に泣きたくなかったのに、涙がとまらない。
……もう、やだ。
碧を困らせる前にこの場から早くいなくなりたい……。
握られた手を振り払おうとするが、離れなくて。
「茉白」
碧に名前を呼ばれる。
……これ以上、なにを言われるというのだろうか。
傷つきたくないよ……。
「茉白。お願いだからちゃんと聞け」
さらに強く握られた手。
その声が聞こえてきて、わたしは涙を流しながら碧を見つめた。
すると、次に聞こえてきたのは──。
「俺の“好き”は、幼なじみとしたの好きじゃない。
俺は1人の男として、恋愛として……──おまえが好きだ」