お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
「……茉白ちゃんは謝らないでよ」
ぽんっ、と頭の上に乗せられた大きな手。
「最初から2人が両想いだとわかってて間に入ろうとしたのは俺だから。
すれ違ったのをいいことに、迫ったりずるいことしてたんだよ、俺は」
上から降ってくる声。
わたしは、その言葉に顔を上げた。
「健くんは悪くないよ……っ!」
「茉白ちゃんは、やっぱり優しいね」
「優しいのは健くんだよ。わたしと仲良くしてくれて、辛い時にそばにいてくれて……」
わたしは、健くんに優しさをもらってばかりだ。
それを聞いた健くんは、優しく微笑んで。
「こんなずるい俺だけどさ……茉白ちゃんさえよければまた仲良くしてくれると嬉しいな」
そう言ってくれるから、わたしは「もちろんっ!」と大きな声で返した。