お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


ベッドの上に座る健くんはヘラヘラと笑って、余裕そうな表情。

少しくらい、危機感を持ってよ……。
碧をとめてよ……!


「健くんとは本当に友だちなの!!わたしがヤクザの娘だってわかったうえで、健くんは友だちになってくれたの!!」


碧の背中にぎゅっと強く抱きつく。
すると、やっとピタリと足をとめる彼。


わたしはすぐに、健くんに“早くここから出て”と目で訴えた。


「じゃあ、俺は先に教室戻るから。またね、茉白ちゃん、碧くん」


最後まで笑いながら健くんはそう言って。
ヒラヒラと手を振ると保健室を出て行く。


碧が「待てやコラ」と追いかけていきそうでも、わたしは必死に彼を抑えていた。

扉が閉まって、今度は碧と保健室に2人きり。


「あ、あのね、碧」


抱きしめていた腕を解いて、彼の前へとまわりこんで顔を見る。
が、まだかなり怒っている様子で。


……なにから言ったらいいのか。
最初は謝るべき?

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