お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。


「お嬢」
「あおひ、教室行こうふ!」


「お嬢」
「あおひ!」


「…………」


碧はため息をひとつ。
それからわたしの頬を離してくれた。


「健くんとは本当の本当に友だちになったの!!なにもされてないから大丈夫だよ!!碧はほんとーーになにも心配しないで!!」
「……なにをそんなに隠すんですか。お嬢の嘘なんて俺にはすぐわかります。何年一緒にいると思ってるんですか」


「う、嘘なんてついてないよ!!わたしは本当のことしか言ってないもん!!」
「…………」


「授業ついていけなくなっちゃうし、すぐに戻ろう!!わたしのせいで授業抜け出して来てくれたんだよね?迷惑かけてごめんね」


それ以上聞かれないうちに碧の手を取って。
すぐに保健室を出て、別々の教室へと戻った。


先生には怒られて、課題のプリントを渡され……。
授業中には碧から心配する大量のラインが届き、帰りの車、そして家に帰っても碧に「本当のことを教えてください」と何度も聞かれた。


その度に「健くんとは友だちなの!!」と強めに言ったわたし。
これからの学校生活も、すごく心配。

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