お嬢は若頭のぜんぶを知りたい。
***
「碧、ぜっっっったいに健くんとケンカしないでね。約束だよ」
「…………」
学校へと向かう車の中で、心配で碧に言った。
だけど彼は……無言。
「約束だよ!?」
今度は強く言ってみれば、隣に座る碧はぷいっとそっぽを向いた。
「あのクソ猿となにがあったのか、本当のことを教えてくれるまで約束できません」
「本当のことならもう何度も何度も言ったよ!」
「知ってますか?お嬢は嘘をつく時俺から目を逸らすんです。お嬢はバカなんで上手く嘘がつけないんですよ。とってもバカなんでね」
わたし……嘘つく時碧から目を逸らしてるの!?
そんなこと自分ではさっぱりわからない。
っていうか、今、“バカ”って2回言われたような!?
2回も言うなんてこれにも悪意しか感じない。
「もういい!碧が健くんとケンカしない、って約束してくれるまで、碧のこと無視するから!バカっ!」
碧の態度、いつも以上にわたしをバカにしてくること、その2点がムカついてそう言った。
そのすぐあとに、停まる車。
いつもおりているところ、学校周辺に到着。