魔法の恋の行方・キスって何?(シリーズ1 オルロフとエリーゼ)

湖のほとり・小屋・早朝(16-16)ページ

<湖の畔の小屋・5時・早朝>

朝方、妖精は目をさました。
それも自分のベッドで。

「え?・・あの人・・」
妖精が急いで部屋から出ると、
暖炉の火は、まだ残っていた。

オルロフは毛布をかぶり、
机にうつ伏せになって眠っている。

妖精が、そっと近づいた。

カツーン
オルロフの首から
何かが滑り落ちた。
妖精はそれを拾い上げると、
息を飲んだ。

美しい宝石が中央にはめ込まれ、
紋章を形作っている。

グスタフ皇国の紋章。

国王の次期継承者が持つ
ペンダント。

妖精はペンダントを握りしめ、
もう一度オルロフの顔を見た。

そして、唇をかみしめた。
すぐに何とかしなくては・・

「これは一夜の夢、かなわぬ夢、
残酷な夢」

<君を連れて、ここを出よう>
未来への翼は、折られていた。

昼過ぎに
オルロフは目が覚めた。

道の脇で寝ている自分。
服も着ている。荷物もある。

「エリーゼっ??」

小屋も湖も何もない。
一本道の向こうには
のんびり羊が草を食んでいる。

すべては跡形もなく消えた。
夢のように・・


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