双子を身ごもったら、御曹司の独占溺愛が始まりました
「お父さんね、星奈を家から出したことを後悔していたのよ。星奈から私に連絡がくるのをずっと心待ちにしていたわ。それにね、星斗君と星七ちゃんの写真を何度も眺めているし、家にはふたりのために買ったたくさんのおもちゃや洋服があるのよ」

「……嘘」

 クスクスと笑いながら話す母の話に耳を疑う。

 でも父は否定することなく、「その辺にしてくれ」と言ってどこか照れている様子。

「嘘じゃないわ、だからこうして星奈たちを迎えに来たの。……星奈、お父さんの言う通りつらいなら帰ってきなさい」

「お前が無理していたら、子供たちにもよくない。そもそもあんな婚約者がいる男に娘と孫を任せておけるか」

「お父さん、お母さん……」

 これは夢だろうか。それほど信じられない。
 目頭が熱くなる中、父と母は私の後ろに隠れている双子に目を向けた。

「初めまして。星斗君、星七ちゃん」

「じいじとばあばよ」

 ふたりに声をかけられ、双子はビクッと身体を震わせる。

「ママ、だあれ?」

 不思議そうに聞いてきた双子の頭を撫でて膝を折る。

「ふたりはね、ママのパパとママなの」

「ママの?」

「そうよ、星斗と星七のじいじとばあば」

 私の話を聞き、双子に見つめられた父と母の顔に緊張が見られる。

 星斗と星七は理解してくれただろうか。

 様子を窺っていると、双子は口を開いた。

「じいじ?」

「ばあば?」

 双子に呼ばれた瞬間、父と母は顔を綻ばせた。
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