意味がわかるとこわいおとぎ話 真相の解説
舌切りすずめは三角関係だった

 舌切りすずめというお話は、優しいおじいさんと強欲なおばあさんの夫婦として性格が対比されたお話となっています。でも、すずめの舌を切るなんて、あまりにもひどくないでしょうか? 動物虐待みたいな題名ですが。

 おじいさんがかわいがっていたすずめがいました。ある日、洗濯のり(障子をはりかえるのりと記載されていることもあります)を食べてしまったすずめを目撃したおばあさんはいらっとしてすずめの舌を切ってしまいます。洗濯のりといっても、すずめが食べる量なんてたかが知れているような気がします。それに、そこまでおこることなのでしょうか? すずめも嘘をつくのです。完全に良い人ポジションのイメージがあったのですが、意外とあざといです。
「のりを食べたのはネコだよ」
 でも、口のまわりにのりがついているので、嘘だということがばれてしまいます。

 すずめの家へ謝りに行こうとおじいさんは山へ行きます。なぜだかすずめのお宿で盛り上がるという楽しいお話になっています。負傷したすずめと加害者家族が会って普通そんなに楽しいお話になるとは思えません。かなりもめるのではないでしょうか。たとえば、ケガの治療代を請求されるかもしれません。もっと謝罪を要求するべきところです。

 すずめは大きなつづらと小さなつづらを見せます。おじいさんは小さなつづらを持って帰宅します。なんと丁寧にお土産までもたせてくれるとは、すずめって性格がいいのでしょうか。しかも、そのつづらには宝が入っています。そこまでしておじいさんを幸せにしようとしてくれるすずめはきっとおじいさんが大好きなのです。しかし、これを見たおばあさんは、舌を切った張本人にも関わらずなぜかすずめの家に行きます。しかも、大きなつづらをもらい、宝をもらおうとします。ところが、大きなつづらには虫やへびなどが入っているという話になっています。

 舌を切られて怨んでいるすずめが宝を渡すはずがありません。きっとおじいさんが大きなつづらを選んでも宝が入っていたのではないかと予想しています。そして、おばあさんが小さなつづらを選んでも、蛇や虫が入っていたでしょう。

★解説

 これは、若い女性をすずめにたとえたのでしょう。浮気性のおじいさん(夫)とそれをよく思わない妻のお話をたとえたのがしたきりすずめ。
 すずめの家を訪ねるときにも、原作となった話では汚い水を飲ませられるという描写があるそうですが、そこまでしてすずめの家をたずねるとはおじいさんも相当会いたいと思っていたのでしょう。それを嫉妬したおばあさんは、結構おじいさんを好きなのかもしれません。そう思うと、おばあさんは悪というより、意外と愛情を持っている女性だという側面が見えてきます。この物語、実は三角関係の物語だったということです。

★教訓
 ここでは大きなつづらなんて選ばずに欲張らないほうが身のためだという教訓となっていますが、実際はどちらにしてもおばあさんは不幸になったのではないでしょうか。だって、いじめた相手に幸せにしてもらおうなんて虫がよすぎると思いませんか。

< 22 / 36 >

この作品をシェア

pagetop