官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました
 あまり褒められたことじゃないし、菅野もいい顔はしないが、俺は休日出勤が常態化している。休日は急な来客や電話に邪魔されることもなく、仕事が捗るからだ。

 この日も丸一日時間を費やすことになると思っていたが、集中できたおかげで、三時を過ぎる頃には、その日の予定を終えていた。

 でもこんなことも、もう終わりにしなきゃな。そうでなきゃ美海と会う時間を作れない。

 そんなことを考えながら、PCの電源を落した。

 時間もできたし、美海に会いに行こう。

 いきなり部屋へ訪れるのはさすがにまだ気が引けるから、どこか気軽な場所へ食事に出かけるのもいいかもしれない。それとも、昨日の今日でまた会いにくるなんてと呆れられるだろうか。

「しかし……来ないな」
 
 いくら頭の中で予定を立てたところで、肝心の美海からの連絡が来なければ意味がない。
 
 日曜日は美海の店は定休日のはずだから、仕事で手が離せないわけじゃない。何か急な予定が入ったのだろうか?

 彼女に連絡をしたくても、俺には店の番号以外わからない。こんなことなら、早い段階で連絡先を交換しておくんだった。

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